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選擇本願念佛のこころ(21)
うそはつけない

この証(しょう)によてむまるる事をえずば 六方如来ののべ給へるした ひとたび口よりいでをはりて ながくくちに還りいらずして 自然(じねん)に壊爛(えらん)せんとの給へり。 『三部経釈』(『和語燈録』巻第一所収)
意訳
 阿弥陀様は、人間の性に駆使されて六道の巷を徘徊(はいかい)している私たちを、みるにみかね哀れみ給い、念仏往生の願をたてて成就され、「わが名をとなえよ。しからば違いなく一人も漏らさず、わが許に迎えるぞ」と、私たちに向かって呼びかけ給い、釈尊は阿弥陀様のひろくてあたたかい本願の聖意を、ご自身のみ心とされ、念仏往生の行を私たちに説き伝えることを出世の本懐とし給う。
 さらに、六方の方角のそれぞれにまします無数のほとけ様は、時を同じくして異口同音に、釈尊の説かれた念仏往生は間違いなしと、長い長い舌を出して虚言でないことを示し、証誠された。もし、お念仏を申して往生のできない人があったならば、いったん出した舌はもとにもどらずに、おのずからただれてしまう、とまで仰せになっている。
解説
 ほめられて有頂天になって、羽目をはずし、わるだくみして、ペロッと舌をだすのは、人の世の常。
 ほめても真実だから、うそでないことを、長舌を出し香気を発散させて証誠(しょうじょう)するのは、ほとけの世界。
 人の世には妄語(もうご)、両舌(りょうぜつ)、悪口(あっく)、綺語(きご)が多過ぎて、閻魔(えんま)様は記帳と判定に汗だくだく。舌を抜く鬼様も超超過勤務でふらふら。
 人も、ほとけ様にみならえば、ペロッとだした舌が、ただれるようだと、真実しか語れなくなるだろう。み名をとなえる阿弥陀仏の舌からは、香気がただよい、うそはつけない。

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