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平家物語 4号(3)

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第四號 源平

成立:建仁、建保〜承久年間/内容:天承元年3月〜建久2年
構成:迦陵頻伽/絵=久保周史

ただ春の夜の夢のごとし

猛将、熊谷次郎直実
法然上人の弟子となる

熊谷次郎直実

これもひとつの後日談である。
源平の戦乱が終り鎌倉幕府が成立した翌年、直実は法然上人の庵を訪ねる。
未来ある若者敦盛を討ち取ったことを含め、武将としての殺戮の日々への反省。苦衷。のちの鎌倉での屈辱、人の世を生きることの悲しみ。このような者が助かる道はあるのかを問うためであった。

考えてみれば、お互いにとるにたらない人間が、善いことをしただの悪いことをしただの、といってみたところで、どれだけのものなのか。
自然の大きな流れから見れば、まったく九牛の一毛に過ぎない。
そのようなことにとらわれないでただ念仏をしなさい。念仏すれば極楽に往生できます。そのほかに何の方法もないのです。

聞きおわって、直実はさめざめと泣いた。上人は不審に思い、わけを尋ねた。すると「自分は手足を切断し、命をも捨てなければ、後世は救われないと思っていました。そういわれれば、そうしようと思い此処へ来ましたが、今のお話では、ただただ念仏さえすれば往生するとおっしゃいましたので、あまりの嬉しさに泣いてしまいました」と答える。
そして、腹を切るために用意してきた刀を「これはもう必要ありません」と法然上人に差し出し献上したのであった。

この「平家物語」は(財)報恩明照会のご協力により(財)報恩明照会発行の「法 然」(第5号)に掲載された「平家物語」をホームページ化したものであります。