
プロ野球の福本豊選手(阪急ブレーブス)が、939個という盗塁の世界新記録を樹立した時、翌日の朝刊の一紙に
「“なにわの韋駄天”に大拍手」
という見出しで絶賛しているのが目についた。「なにわ」というのは、もちろん「浪花」つまり大阪のことであるが「韋駄天」というのはどういう意味か、調べてみよう。
辞書によると、韋駄天とは、仏法守護神の一つで、よく走るという俗伝があるといい、転じてすごい勢いで走る人のことをさす、とある。
すなわち、韋駄天は仏法や寺院を守護する神の一人である。もとはヒンズー教の神スカンダ(跳ぶ者)のことであったが、仏教に取り入れられて戦さに強い善神となった。その姿は、甲冑に身を固め腕に宝剣を捧げていて、なかなか勇ましい。
日本では『太平記』巻八(谷堂炎上)にあるように、釈尊入滅の直後、捷疾鬼という足の早い鬼が、すばやくその歯を奪って逃走したところ、韋駄天が追いかけて取り戻したという俗説がある。謡曲『舎利』では、「足疾鬼」が「仏舎利」を盗んだことになってなっているが、要するに、韋駄天はスピード王の代名詞となっている。福本選手もその一人に挙げられたわけである。
※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。