
建物の正面にある入口をいう。武家屋敷では、正面入口に客の送迎のために礼をする、一段と低くなった板敷きが設けられ、それを式台といったが、この式台のあるところを「玄関」と呼んだ。訪問者はここで案内を乞うのがしきたりであった。
しかし、元来は「玄妙な仏道に入る関門」という意味で、特に禅宗寺院では禅宗入門の第一歩をしるす場所として重んじられた。今でも、入門が許されるまで、二日でも三日でも式台の上にうずくまって声のかかるのを待つ初心者雲水(修行僧)の姿を見かける大寺院も、なきにしもあらずという。
それほど厳しい禅寺の客殿に入る門や書院の入口を「玄関」と呼んだのであるが、一般に普及して、料亭でも民家でも、大抵は玄関をつくるようになった。しかし、アパートやマンションなど、団地生活が一般化するにつれて、今日では、床の間とともに玄関らしき構えさえ消え去り、単なる入口やお勝手口を建築上から玄関口と呼ぶ傾向になりつつあるにすぎない。
人生を究めるにも、まず「玄関」に立って案内を乞うてから奥座敷へ通されるのが順序であり、礼儀でもある。さしずめ中学はその玄関に当たり、これから高校、大学、社会へと道が通じていくのであるから、しっかりとした心構えが肝心であろう。
※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。