
漢字をあてると「乞食」で、コツジキと読むのが正しいが、世間では、食物を恵んでもらったり拾って歩いたりする、いわゆる物乞い、物もらい風情のことをさす。
しかし、本来の「乞食」は、僧が各戸を托鉢して歩き、食物を乞う修行の一つに名づけられた言葉である。
昔の仏教教団においては、僧は出家した以上、自らの手で食物をつくったり田畑を耕作したりすることを禁じられていた。法は仏に乞い、食は人に乞う、それが彼らに課せられた修行であり掟でもあり信条でもあった。つまり、一般の人に布施という善根をつませる尊い行為が「乞食」であって、恥じる行であるどころか、むしろ大衆救済の法でさえある、と考えられていたのである。
だから、今でもインドやタイ、ビルマなどの仏教諸国では、僧侶に供物を捧げるのが当然のことで、僧侶も布施を受けるのに礼さえいわないのが普通であるという。
※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。