
「そんなことで受験にパスできるか」
「大丈夫、大丈夫。心配しないでいいよ」
受験生の諸君なら、家庭や学校で一度や二度、こんな会話を経験したことのない人はいないであろう。
つまり、危なげがなく、また、確かなことを大丈夫といい、副詞的にも使うのが普通である。
一方、立派な壮年男子のこともさす。「ますらお」とか「ますらたけお」という古い言い方もある。
しかし、仏教では元来、偉大な人、しっかりした人、頼り甲斐のある人のことをいい、いわゆる「菩薩」と称される人の代名詞でもあった。菩薩の言行には、何でもすべて信頼がおけたから、これを大丈夫というようになったのである。中国では、富貴、貧賤のいずれにも心動かされず、威武堂々、意志が強くて立派な人物をさした。
丈夫というのは一人前の男子の称であるが、正しくはこれをジョウフと読み、一般に同じ熟語をジョウブと読めば、健康でこわれにくい状態をさすのに用いられる習わしである。「大」は美称あるいは尊称であるから、「大丈夫」といえば、とにかく安心して全面的に任しきれる人物、そこから転じて安心のおける状態をさすようになったのである。
※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。