
「旦那」という言葉は、現在いろんな人称代名詞として使われている。もとは商家で一家を取りしきる主人の尊称として用いられていたが、今では、一般に使用人が雇い主を、妻が夫を、商人がお客を、犯罪人が警官を呼ぶ時など、大抵目上の人に対して使う例が多い。
しかし、これは梵語ダーナの音写で、檀那と書くのが正しい。布施という原意であるが、日本ではそれが人称となり、布施する人、施主、後継者などから転じて、現在のように広く保護者的立場の呼称となったのである。女性でも地域によってはこう呼ばれる。
お寺では、金品を寄進してくれる人を、施主とか檀那と呼び、檀家・檀徒という言葉もそこから生まれた。つまり、主として財政的にお寺の生計を支えてくれる人や家をそう呼びならわしているのである。
もっとも、布施をして寺の財政を助けるだけでは檀家とはいえない。やはりその寺に属して、信仰の深さも十分に伴っている人でないといけないことはいうまでもない。また、金品だけを寄進するのではなく、「無財の七施」という、やさしく親切で思いやりのある言葉や行いをもって他人と接することのできる人でなければ、真の檀徒、つまり「旦那」と呼ばれるに値しないことを知っておきたい。
※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。