
内所、内緒などと当て字で書く場合が多いが、元は「内証」の転じた形で、読み方も「ないしょう」と言った。すなわち、仏や菩薩が自分の内心のさとりによって、仏教の真理をつかむことをさすのが、本来の意味である。
ところが、今では、表向きにせず、内密にしておくことを「ないしょ」という場合が多い。例えば、
「二人だけのないしょよ」
「主人にはないしょで頼みます」
などというふうに使われている。
また、ある地域では、家の奥向き、台所、妻、家計などの意味でも用いられた。いずれも、表へは出しにくい家庭内部の人や物品の総称である。昔の遊女屋では、主人の居間や帳場も「内所」といって、秘密めいた場所にしていたそうである。
さて語源になった「内証」は、仏や菩薩のみの「ないしょごと」から発したものかもしれないが、衆生済度の任にある仏・菩薩が、中心のさとりをそのまましまっておかれるはずがなく、接する人々の機根に応じて変幻自在な形でそれを説きあかされた。これを「内証」に対して「
人間のように、コソコソと内輪だけの秘密にとどめないで、堂々と外部へも働きかけるところ、さすがに仏さまであると思う。
※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。