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油断

ゆ 油断

たかをくくって、気をゆるすこと。不注意と同じ意味であるが、「油断」という漢字はいかにもいわくありげである。

さるお経によると、(あるじ) が一人の臣に対して油の一杯入った鉢を持たせて大衆の中を歩かしめ、「もし一滴でも油をこぼせば命を断つぞ」と、うしろから抜刀した侍を尾行させておどした。その臣は一生懸命に油鉢を堅持して、やっと無事にすんだが、ここから「油断」の語が起こったという。

また、一説には、ウバキタ尊者という人が、捧げ持つ油皿から不注意で油をこぼしたのを一老女に見つかり、その無作法を責められた昔話からきたともいう。

しかし、それらの語源説をまつまでもなく、「油」を「断」つと火が消えるから、その不注意をいましめるために作られた言葉であるのかもしれない。

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いずれにせよ、油断は大敵である。何をするにも、ちょっとした心のすきまから、失敗の芽が生え出すもので、家庭生活の防災や健康管理その他、全般にわたっても、このことは大切な心構えである。勝負事でもすべてそうである。獅子は兎一匹捕えるにも全力を尽くしてあたるというが、人生日々の闘いは、万事慎重の上にも慎重を重ねて対処する油断なき努力が、最後の笑いをもたらすものである。

※これらは、「えっ、これが仏教語?ー日常生活の中の仏教語ー宝田正道著」から引用していますが、HP掲載用文章に変更しております。