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浄土門主のお言葉

800年大遠忌(だいおんき)を迎えて

浄土門主  伊藤 唯眞

伊藤門主浄土門主  伊藤 唯眞

日本は今、物質的な豊かさを享受できている一方、誰とも縁のない人々が増えている、いわゆる無縁社会と呼ばれる状況にあります。これをなんとかして、お互いが助けあって真に喜べるような社会へと変えていくことが求められています。

浄土宗が21世紀初頭に掲げた劈頭(へきとう)宣言は、「個人」「家庭」「地域と世界」の三者が「ともいき」の精神を持つことが必要であることを訴えています。切れかけている(えにし) の絆を再び強くするためには、まずはそのうちの「個人」、つまり各人が自分自身を見直し、愚かでいたらない身―― 凡夫(ぼんぶ)の自覚をあらたにすること、これがぜひとも必要になります。

ともすると知識重視となりがちなわたくしたち。しかしその知識を(おご)るのではなく、お互いが凡夫であるという自覚を根本に据えることができれば、忘れかけていたやさしさやまごころといったものに気づくことができ、そこから家族のつながりも、また地縁も、社会の共同性も甦(よみがえ)らせることができるはずです。

本年は浄土宗を開かれた法然上人が亡くなって800年という大きな節目の年です。これをよき勝縁とし、上人が示してくださった「愚者の自覚」を持ち、いたらぬ凡夫をも救い導いてくださる阿弥陀さまにこの身をゆだね、お念仏をとなえる中に毎日をおくること、これを今一度、心に深く、強く刻み込んでいただくようお願いいたします。

合  掌


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